2026.05.12
5月コラム「がん患者さんとの関わりで心がけていること」
高齢者にやさしい食事・生活を。
ファインの介護・医療食品のオフィシャルサイト
Medical and nursing care workers
2026.05.12
海老名総合病院 栄養科 片山沙那
私は病院管理栄養士として6年目を迎え、現在は病棟業務に加え、外来化学療法室での栄養相談および週1回の緩和ケアチームラウンドを担当しています。日々の業務を通して多くの学びを得るとともに、がん患者さんと関わる上で大切にしている視点があります。
外来化学療法室では、一人ひとりの患者さんに寄り添いながら栄養相談を行っています。近年、抗がん剤治療の多くが外来で実施可能となり、良好な栄養状態を維持することは治療継続の基盤として非常に重要となります。患者さんが食事を十分に摂取できない背景には、嘔気・嘔吐や味覚障害といった身体症状だけでなく、精神的要因も関与していることが多くあります。また、自宅での食事は入院時と異なり自己管理の比重が高く、患者自身が摂取量の適否を判断しながら食生活を整える必要があります。そのため、栄養相談では食事内容の提案にとどまらず、食品の調達方法、家族構成や主調理者、調理技術といった生活背景を把握することを重視しています。患者さんが「食事を用意し、実際に口にするまで」の負担を軽減する支援こそが、継続可能な栄養管理につながると考えています。
一方、週1回の緩和ケアチームラウンドでは、緩和ケア医、精神科医、薬剤師、看護師など多職種とともに回診およびカンファレンスを行い、主治医へ薬剤・看護・食事に関する提案を行っています。ラウンドでは一人の患者さんに約20分の時間をかけて話を伺うことが多く、栄養面にとどまらず、患者さんに寄り添う姿勢の本質を学ぶ貴重な機会となっています。特に、精神科医の関わり方からは、患者さんが話しやすくなる声かけや、つらい症状の引き出し方など、多くの示唆を得ています。
がん患者さんの苦痛は、身体的側面のみならず、精神的・社会的側面とも深く関係しています。そのため栄養管理においても「食べること」だけに焦点を当てるのではなく、患者さんの思いや生活背景に目を向けることが重要であると考えます。今後も、患者さん一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、その方らしい生活を支える栄養管理を実践していきたいと思います。そして多職種と連携しながら、より質の高い栄養管理を提供できるよう努めていきます。