海老名総合病院　
栄養科　木村　夏実

―食べることと戦う17歳の少女―

　17歳の少女が涙を流し震えた声で言いました。「このまま食べれなくなっちゃうのかな…」

　とある日の入浴後に嘔気が出現、そこから嘔気に対する恐怖心が生まれ、急激に食事量が減少しました。そこから体重も一気に減少し、4ヶ月で15kgも減っていたといいます。いくつもの病院を受診し精査するも、器質的な原因は分かりませんでした。
　メンタルクリニックで1ヶ月加療しても、体重はさらに5kg減少。皮下脂肪はなくなり、座ったり横になったりするだけで痛みが生じるほどに痩せ細ってしまいました。入院する以外なす術がなくなり、当院へ入院となりました。

　入院時、身長163cmに対して体重37kg、BMIは13.9kg/㎡でした。リフィーディング症候群に注意しながらの栄養補給と経口摂取量UPが入院中の目標となりました。栄養状態を維持するため、中心静脈カテーテルから高カロリー輸液の投与が開始となりました。そして経口摂取を進めるため、すぐに主治医より栄養士の介入依頼がきました。

　新人栄養士だった私は、食事に対して恐怖心を抱く彼女とどう関わるべきか、悩みながら病室へ向かいました。
　彼女は落ちついた様子で、こう話してくれました。
「食べれるようになって、早く元気になりたい。」と。

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