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医療従事者向け 6月コラム 「臨床・給食のワークバランス」

2023.06.16

  • コラム

 

東京医科大学病院
栄養管理科科長 
宮澤 靖

臨床・給食のワークバランス

私がこの20年間、常に管理栄養士の育成に携わる中でよく伝えているのは、

「ワークバランスを意識しましょう」ということである。

食事を作る病院給食管理の業務も、病棟で臨床栄養管理に携わる業務も同じくらい大事で、今は両者の業務に重複している部分があり、管理栄養士の専門性を十分に発揮しきれていない管理栄養士が散見される。

日本において長い期間、病院管理栄養士の業務は「おいしい食事の献立・調理・提供」であり臨床面では「病棟訪問型」での対応が今でも主流となっている。しかし、これから望ましい形としては「病棟配属型」であり(図)一人の管理栄養士が2大業務を兼務することで、それぞれが兼ね備えているパフォーマンスが分割されてしまい、両業務が十分な体制をとれない状況にあるのではないかと思う。

また、診療報酬制度にも目に向けてもらいたい。管理栄養士に対する診療報酬は他職種と違い「管理料」がないことであり、管理栄養士は「患者とコンタクトすることでの課金」になっている。したがって厨房での業務に対しては課金が無いので、医療経済的には損失が生じてしまう。管理栄養士に対する院内からのニーズ、そして社会的なニーズの高まりを感じ、また収支の面においても、厨房に管理栄養士の人員が割かれやすい現状では、他職種に比して病院収入への貢献度は低いと言わざるを得ない。このままでは結局、新たな人材を登用できず、さらなるマンパワー不足に陥り、病棟へ向かうべき管理栄養士が足りないという負の連鎖が続いていくだけである。院内唯一の栄養専門職として臨床栄養管理に携われる管理栄養士とフードサービスに従事する管理栄養士の価値観を急ピッチで変えていくことが必要であると思われる。

現在、世界情勢の不安定から食材費の高騰が続いており、入院時食事療養費も25年間据え置きの状況である。しかしながら、臨床に対する診療報酬は手厚くなってきているので、収支バランスを再考して、意識変革を断行して組織内文化を変革する必要があると思われる。そして、管理栄養士が取り組むべき業務を明確にして、効果的かつ効率的に活躍できる環境を調整する必要がある。そうすれば、厨房業務としておいしく、治療効果が高い食事を提供しながら、臨床栄養の面でも貢献できるような理想に近づけるのではないかと考える。

 

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